2009年01月29日

オスロ宣言

先月、ノルウェイのオスロにてEFA(Education for All)第8回ハイレベルグループ会議(Osloprogram-draft.pdf)が開かれた。

ハイレベルグループというのは途上国の教育大臣や長官、また国連やその他のドナーの代表者が含まれる。

このような大規模な会議ではグローバルに教育開発の状況等を話し会い、その結果を宣言として残すことが多い。

そのオスロ会議での宣言は以下。

  1. 教育を開発の軸にもってくる。
  2. 教育の平等を優先させる(教育統治システムの強化と人材育成)
  3. 教育予算増加とより必要なところ(国)への予算の集中
  4. 新しい教師の募集、研修・訓練、配置、維持
詳しい宣言の内容が知りたい人はこちらOslo_Declaration_final_17dec08.pdf をどうぞ。

次回の第9回EFAハイレベルグループ会議はエチオピアで2010年の2月に行われる予定。


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2009年01月28日

教育予算(支出)の比較

途上国の教育予算や支出に関する指標はたくさんある。でも必ず最初にチェックされるのは2つ。

1.教育支出がGDP(国内総生産)に対してどのくらいか(以下のグラフで緑)
2.教育支出が国家支出でどのくらいを占めるか (青)


budget.JPG

上のグラフは興味深い。残念ながらパキスタンやバングラデシュの途上国よりもタイ、韓国、メキシコ等の国のほうがかなり多く教育に予算をつぎ込んでいる。

UNESCOとしては緑(対GDP)の数値を最低4%から5%にすることを推奨している。

こういうチャートは何に使うかというと、政治家、大臣、官僚また教育関係者見せて、このままでいいんですか?このままだと取り返しがつかないようなことにもなり得るのでは、、、。といったことを暗示する。これをアドボカシーと呼ぶ(?)

パキスタンでは教育に対する関心は高い。一般の人も高い教育レベルの人もたくさんいる。

過去数年間に大統領や首相が教育予算をGDPの4%にと宣言したのは何度か新聞で見た。つい先日も新しい首相が宣言した。でも、その数字を達成するのはなかなか難しいようだ。
posted by ichiro at 11:36| ニューヨーク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 途上国の教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月18日

2015年

2015年はいろいろな開発指標の節目である。教育に関してもMDG(Millenimum Development Goal)やEFA(Education for All) 6 Goals は2015年をターゲットに設定されている。

でも2015年はそんなに遠くない。あとたったの7年。2000年になってから8年経過したから、その時間より確実に少ない。2000年と今と比べたときに変化はあるか?きっと同じような変化を7年後に見ているに違いない。アフリカや南アジアの国にとってゴールはまだまだ遠すぎる。

2015年に教育開発業界は何をいっているだろう。同じことかな?2013年ぐらいになると教育開発委員会が途上国政府の人、ドナーや国連で発足されて過去の検討をしだす。あまりに課題が多すぎて巨大なレポートが出来上がるだろう。

MDGやEFAがグローバルレベルでゴール達成のために勢いをつけていることは疑いの余地はない。それは途上国にとっても援助側にとっても指標をみつつ、いいプレッシャーやモチベーションになる。強い政府と国民をもつ国はこの数十年で大きく社会・経済・教育発展を遂げている。

弊害もある。各々の国の発展ペースがあまり考慮されていないところ。受け皿がないところにあまりに大きな資金が流入する。消化不良という言葉では生易しい。

たくさんの国から出される統計のほとんどが右上がり!? 統計を算出・提出する部署はそうしないと上部からお叱りをうける国も少なくない。

教育開発に必要なのは質、量ではない。急げば急ぐほど、お金は無駄に消えていくだけでなく、悪い方向にも作用する。でも、急がなくてはいけない理由もある。

芋ずる式に繋がるすべての課題を一挙に抱えるより、出来るところから徐々にスローペースでもしっかり砕いていくしかない。そんなコンセプトが2015年に採用されていくべきと信じている。

classroom5.jpg
ジャクソンとジョン(ントリリ中学) メチャクチャ楽しいふたり。学校が終わると自分の家によく来ていた。「歌え歌え」とうるさいのでギターを弾いてボウイを歌ったら、真似してウケまくってたっけ。本当に失礼なやつら。
posted by ichiro at 11:53| ニューヨーク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 途上国の教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月17日

女性と子供の人権にフォーカスしてあるサイト

パキスタンの人権や教育事情をキャッチする上で面白いサイトを見つけた。

http://www.netbaz.org/news.asp

CategoryのボックスがあってそこでEducationを選ぶと過去のいろいろな記事がでてくる。
因みに国内の新聞記事の質はあまり高くないことも多い。でも、すくなくても何が起こっているか感じ取れる。以前に紹介してした、焼かれたり爆破される女子学校のネタもいくつかある。

その他は、これら

  • 学校にこない先生のネタ。学校をびっくり訪問して教師がいないのを確認、そして給与を止める。かなりたくさんの教師が給料を受け取っているが学校にいかず、下請け?になげる。要するに給料の一部をだれかに払って、そのだれかが学校にいって授業をするんだか、しないんだか、、




  • 204の学校が閉鎖(北西辺境州) 北西辺境州はパキスタンの4つの州のひとつ。現在もっとも激しく政府とテロとの戦いが行われている地域。記事からはその閉鎖理由がしっかりと書かれていないが、州政府が十分な保護をしていないとのこと。 

ここのサイトは人権問題にフォーカスにしているので、他のカテゴリーもかなりヘビーな記事が載っている。とくに女性の人権に関する記事はかなり豊富である。
posted by ichiro at 11:46| ニューヨーク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 途上国の教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月10日

人口抑制と中学教育

数日前に面白い記事(Secondary Ed Universal!.pdf Joel E.Cohen,2008 Macmillan Publishers Limited.)を読んだ。

記事の内容は「Universal Secondary Education(中等教育に完全普及)をこれからは目指すべきで、またそれは世界の人口増加に歯止めをかける可能性がある」というもの。

皆さんご存知のように、Universal Primary Education(初等教育の完全普及)はMDG(ミレニアム開発目標)やEducation for All(EFA)ゴールの1つである。多くの途上国は2015年までにこの目標の達成を目指している。

国連推計によるといまの出生率でいくと2050年には世界人口は92億ぐらいになるとのこと。例外を除いて先進国では人口は減少で人口増加は発展途上国で起こっている。

子供の数とお母さんの学歴には相関関係がある。以下のグラフは上記添付の記事からの切り抜き。ケニアの場合、小学校に行かなかったお母さんは平均して6.7人の子供を持ち、小学校を終えた母は4.8人、中学校を終了した母は3.2人の子供を持っている。
education and the number of children.JPG

現在、中等教育の就学率は多くのアフリカや南アジアで40%以下。しかし著者は25年以内に中等教育の完全普及は可能であると主張。

人口抑制が先に来て(人口抑制のための)中等教育の促進では、個人的にはしっくりこないし寂しく感じる。でももっとたくさんの人が中等教育を機会を得られその副産物としてそれが起これば素晴らしい。





posted by ichiro at 13:14| ニューヨーク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 途上国の教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月30日

とても小さな建物に500人の生徒

昨日、イスラマバッドから車で30分ぐらいのピンディというところの小学校を5校視察した。

5校のうち一番印象に残ったのは家を借りてそれを学校にしてあるもの。けっして大きな家ではないが、そこの1階が男子小学校で2階が女子小学校だった。

もちろん各階に6学級あり(幼稚園1年、1年生から5年生)その生徒数500以上。実はこれ公立の学校。2階の女子校には部分的に屋根がなかった。写真は以下です。

IMG_5275.JPG IMG_5277.JPG IMG_5284.JPG

今は寒いが、夏は半端なく暑い。いずれにしてもここで勉強するのは大変だ。5年生になるとすこしは机のスペースがあるが、他の学年はほとんどない。

壁等にいろいろ貼ってあるのは、地元のNGOのサポートを受けているため。他の公立の学校ではみることはない。

他の学校は比較的広かった。この寒さ、地べたに座ったり、外での授業は結構きつそうだった。また、トイレ等の施設はあればいいほうで、あってもこんな感じである。下水は機能していないため、校舎の横から流されている。

IMG_5290.JPG IMG_5297.JPG IMG_5291.JPG

でも、生徒や先生の表情は明るかった。特に女性先生は元気そうだった。学校視察は楽しい、現場にはいろいろある。

ただし、いく学校のすべての教室で挨拶することになるので、昨日も30回は生徒の前で「アッサラームアライクン、グッドモーニング」を連発した。自己紹介や質問を受けたりするのも楽しい。

基本的に先生に質問することが禁じられていることが多いので、質問はあまりでてこないこともある。

中国のことは知っていても、日本ことは知らない。JAPANという言葉は聴いたことがあるぐらい。4,5年生にもなるとToyotaやHondaやSONY、広島・長崎は知っているかな。

聞かれる質問
  • 日本人は何を食べてますか?
  • あなたは私達に何をしてくれるのですか?
  • 子供は何人いますか?
  • パキスタンの好きなところはなんですか?










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2008年11月27日

若い者にも席をゆずろう

ラホールで教育に関連する2つの会議に出た。

1つは「識字を習う生徒がいかに楽しくよく学べるようにするか」、もう1つは「数百ある教育大学や教員養成学校間でどう協力・調整をしていくか」というもの。

30-40人程集まってもらい、プレゼンをしてもらったり、課題について話しをしてもらったりする。

教育に携わって数十年の人ばかりなので、中々重みのある議論が展開される。部分的にウルドゥ語が使われ、すべてを把握するのは難しいのだが勉強になる。年齢は参加者の8割以上が60歳弱である。

こういった会議で特に気になることが2つある。

  1. 1つの課題にフォーカスするのがとても難しい。3時間あったら2時間半はあまり関係ない話か自慢話。
  2. 比較的若い世代(30代や40代)の人の参加がとても少ない。組織いる実際仕事を回して世代もいるが、会議参加へのチャンスはあまり与えられない。
1.に関しては議長の能力や裁量でなんとかすこしは改善できる。 2.に関しては難しい。超トップダウン・権力集中構造のため、トップは若い世代の進出を望まない。これはこの国の縮図でもある。

トップ(熟年層)の参加を敬いつつ、若い世代の参加を徐々に促進する必要がある。


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2008年11月13日

授業は会議室じゃない、現場で起きている!

昨日、イスラマバッドの近郊のNon Formal Schoolを5校みてきた。事務所で常にメールと書類処理ばかりなので、学校にいって子供と会うのはとても新鮮で楽しい。

Non Formal Schoolは何かというと、公立や私立の学校(Formal School)に入れなかったり、ドロップアウトしたりした子供が普通の学校にいる子供達に追いつくためのもの。普通5年間の小学校教育を3年半のカリキュラムでやったりしている。

見学した5校の状態はいろいろだった。教室数が2つだったり、4つだったり、、。ただの空きや改造のもの、しっかりと建設されたもの等。だいたいこれらの学校の土地や建物は村から提供される。
IMG_5229.JPG  IMG_5257.JPG  IMG_5263.JPG

気になったのはクラス構成、例えば写真左の学校には教室数が4つあったが、
教室1には幼稚園児、1年生、3年生
教室2には1年生、2年生、3年生
教室3には1年生、2年生、4年生
教室4には5年生 

5年生を除いてごちゃ混ぜになっていた。どうしてか尋ねると、「数年前にMultigrade Teaching(複式学級)が導入されたからです。」との答えだった。

「教室数が1つか2つだったら分るけど、4つあるのでもうすこしシンプルに分けたほうがいいのでは?」との問いに「、、、、、、、そ、そのとおり」 これでは、複式学級方式という手段が優先され、結果であるはずの生徒の学びが阻害されている。

数年前に何が何でも複式学級方式を取れとの指示が出ているとのことだった。超トップダウンな組織が多いパキスタンにおいて、現場での柔軟性は無視される。授業は現場で起きている。

いろいろな問題はあるにしても、生徒と先生の表情は明るく元気がよかった。

調査団や外国人が学校やプログラムを見に来るとOne Day Showが行われたりする。普段学校に来ていない近所の子供や大人がかき集められ、その学校やプログラムが活発であるように見せられる。こっちには初めての視察でも彼等たちには何十回目のことだ。 お気持ちは有難いのだが、できたらありのままを見せてほしい。でも、今回の視察ではそのようなShowはほとんどなかった。

生徒と先生の写真をどうぞ。

IMG_5221.JPG   IMG_5258.JPG  IMG_5243.JPG  IMG_5232.JPG   

IMG_5231.JPG IMG_5274.JPG IMG_5265.JPG



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2008年11月12日

これが現実に近い

いつも読んでいただいて有難うございます。今日でブログ更新100回目です。

教育省の新しい統計によると、

公立小学校(5年間教育)の教室数

     1                2               3              4            5           6          Total
16,154      54,887     11,745     7,316     4,688     6,510     101,300
     16%        54%          12%        7%         5%        6%          100%

全国で10万の公立の小学校があるが、そのうちの7万校は1つか2つの教室しかない。

1年生から5年生までいるはずの学校に2つの教室では、こんなようなことが起こる。学校に先生がいればの話だが、、
  • 1、2年生は午前中、3、4年生は午後、5年生はその後 
  • 1年生から3年生は同じ教室、4,5年生は同じ教室、
  • その他、

5年生になるまでに約半分の生徒はドロップアウトする。また、地方では4、5年生の数も1ケタなんてことも珍しくない。教室数が1つか2つで先生の質も定かでなければ、子供を5年間学校に通わせたいと思う親は多くはない、たとえ自らの経験から教育の重要性を感じていたとしても。

統計の信憑性はともかく、この数字はとてもシンプルだが、パキスタンの教育状況の現実を如実に出している。

今日はイスラマバッド近辺のNon Formal Schoolを見てきます。明日、ブログに貼ります。
posted by ichiro at 11:13| ニューヨーク ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 途上国の教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月08日

教育と言語2

今年7月に書いた教育と言語の補足資料を添付します。Dhaka. Rationale, Principles, Practices.pdf (全6ページ)

メッセージ的には「まず母語(第1言語)でしっかり母語の読み書き能力をつけなくては、第2言語ではうまくいくのは難しい」ということです。添付資料の引用(2ページ)にあるように「母語での能力の発達は第2言語での発達を大きく作用する」。

個人的に興味深いと思ったのは4ページ目のグラフです。少数民族の言語をもつ子供が6つの方向で教育された場合の結果です。

テストだけの話ですが、1番成績がよくなった方法は少数民族の子供とそうでない子供がミックスされて、先生達は両方の言葉を使って授業を進めていく場合。

2番によかったのが、最初の6、7年間、少数民族の母語でしっかり母語の読み書き能力をつけながら、同時に第2言語を徐々に始めていく。そして、その後7,8年目にすべてを第2言語で習うようになる。 

途上国教育、日本の英語教育、また自らの子供の教育(外国滞在の場合)を考える上でで参考にれば幸いです。







 

posted by ichiro at 15:15| ニューヨーク 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 途上国の教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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