タル・ベン・シャハーは心理学博士(組織行動論)。ハーバード大学でももっとも人気のある講師。彼の著作の「
Happier」より (幸福の科学出版) 以下、中略含め引用させていただきます。
世界一裕福な教師の話
コリンズはシカゴのスラム街で教師をしていました。そこは、犯罪とドラッグがはびこる、何の希望も見いだせないような場所でした。
1975年に、コリンズは、自宅周辺に住む子供たちのために学校を設立しました。彼女の生徒たちのほどんどは、不良行為におよんだか、一般の学校システムに何らかの理由で溶け込めなかったために、ほかの学校からはじき出されていた子供たちでした。
彼らにとってはコリンズの学校は人生の落伍者となることから自分たちを守ってくれるかもしれない、最後の砦だったのです。
そしてその学校は、本当によく彼ら守りました。学校には不適格といわれていた生徒たちが、その学校にはいると、がぜん学びはじめ、シェークスピア、エマソン、さらにはエウリピデスさえも読むようになったのです。かれらの多くが大学まで進むようになりました。
コリンズの生徒たちは、彼女のビジョンを自分達のものにしていました。「
成功するために必要な資質は、すべての人間のなかにある」というビジョンをです。
彼女の学校設立されてから20年の間はかなり苦しい経営が続き、何度も閉鎖の危機に瀕したようです。しかし今ではコリンズ・スクールはアメリカの何州にも校舎をおくように至り、シカゴの本校には、彼女からじかに教育方法を学ぼうと、世界中の教育者たちが押し寄せつづけています。
あるとき彼女は、市主催のパーティー会場で大企業の経営者や富豪たちと接しながらつくづく考えたといいます。
「私は、どうして教師でいたいのだろう?」 彼女はその答えを見出すのに長い時間はかかりませんでした。ある生徒のことを鮮明に思い出したからです。
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ティファニーは、自閉症で、学習能力が欠如した無愛想な女の子でした。実際、本当にいつも黙ったままで、何も話そうとしないのです。
ところが、ある日、私(コリンズ)の積み重ねられた愛と忍耐と祈り、そして決意に応えるかのように、彼女はようやく口を開きました。
「大好き、オリンズ先生」
私の名前のコリンズから「C」が抜け落ちていましたが、私の目から止めどなくあふれ出ていた涙は、私にある大切なことを教えてくれていました。私が自分を、世界中に誰よりも裕福な人間として認識した瞬間でした。
現在のティファニーは、数字をかけるようになり、単語をすこしずつ読めるようになり、話すことも、ずいぶんうまくできるようになっています。
彼女のそんな様子を見られること、そして何よりも、彼女の目の中のなかにある喜びの光を見られることは、私にとってフォートノックス*の金塊に負けないほどの価値があります。
その光はいつも、こう語っています。
「私も、特別なの。私も、学ぶことができるの!」
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1980年の、レーガン・ブッシュ政権は、彼女に教育省長官への就任を要請してきました。しかし彼女は、その要請を断りました。教えることを心から愛していて、それを行うそのことが、自分をもっとも幸せにしてくれることだと信じていたからです。
* 米国連邦金塊貯蔵所の所在地
posted by ichiro at 10:45| ニューヨーク ☁|
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途上国の教育
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