2012年03月09日

テイラーメイド教育


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「学校に通うというのは、12年間の懲役刑で人生を始めるようなものだ。そこで学ぶのは、じつは悪い習慣だけだ。私は学校で教師をしていて、賞までもらった。だからよくわかる。」

ニューヨーク州 年間最優秀教師賞受賞 ジョン・テイラー

上記は10年前にダニエル・ピンクの著書「フリーエージェント社会の到来」で引用されたもの、とても強烈です。

ダニエル・ピンクはこの著書のなかで、世界や仕事形態が大きく変化しているなかで唯一百年単位で変化していない教育システムの謎について考えてます。

彼が70年代に通っていた公立学校にいった時の気持ち、自分が通った小学校に行ったときと全く同じです。
殆ど変わっていない教室にデジャブー連発です。それは、正直いって気持ちいいものです。同時にすこし恐ろしくもなるのです。

特に日本の義務教育は「均質化装置*」として大きく機能しています(た)。自分が今好きな仕事をさせてもらっているのはこの均質化装置のお陰でもあるわけです。しかし、10万人の不登校児、過激なイジメ、外国と比べて高くない学力、アジア中でも低い英語力、大学を出ても就職難、頻繁な転職機会、企業寿命の変化、年3万人の自殺者、すべてを教育システムの責任にするつもりはありませんが、この均質化装置を抜本的に改良・改善をする必要があると思います。

日本での人気作家の神田昌典さんは2024年には「会社」がなくなると予想しています。人が協働することには間違いがないでしょうが、一斉に雇って訓練して育て、どこかに所属するというより、知識・スキルを持った人たちが集まりプロジェクトや活動に期間限定で参加するような形態が主な仕事になるということです。まさに、多くの人間がフリーエージェント化するということです。

では、教育システムはどう変化してくるのでしょう。ダニエル・ピンクの教育でのキーワードはテーラーメイドです。ダニエル・ピンクは10年前にアメリカにてすでに起こりつつある3つの変化について述べています。

これらは、フリーエージェントの4つの価値観(自由、自分らしさ、責任、自分なりの成功)に合致しているといいます。

  • 在宅教育
  • 高校内容の多様化・実学化
  • 大人の生涯自己学習システム・グループ

短期間で均質化装置に組み込まれるよりも、子供の特徴や成長、興味によって教育自体をテーラーメイドして、勉強内容をより現実に役立つものに近づけ、学び続ける習慣を養うというところです。また、フリーエージェントには引退はありません。この大きな動きを手助けしているのはまさにIT・ネットです。G24のような国の教育は自然にこのような形に変化していくと思います。

さて、では途上国では、、、どうなっていくのでしょう?

まだまだ、数十年は均質化装置を推し進めるべきなのでしょうか?過去数十年、均質化装置の設置は大きく失敗してしまっています。

この課題について考える時にこんな話を思い出してしまいます。10年前、タンザニアで働いていました。

タンザニアでは電話線は田舎まで浸透せず、携帯電話が伸びはじめていました。
通信の開発の専門家曰く「まだまだ電話線だってしっかり引かれていないこんな国で、携帯電話なんてけしからん!!!」

なにが「けしからん」のか自分には分かりませんでした。数十年経過してもしっかり拡大されることがなかった電話線をまず拡大してから、携帯電話を導入すべきということなのでしょうか。

長々と書いてしまいました。お読みいただきありがとうございます。


* 社会学者のマーシャル・マクルーハンが学校を「均質化装置」と揶揄った。












posted by ichiro at 11:00| バンコク ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 教育開発プロフェショナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと、生意気でしょう。 先輩を呼び捨てするって、人として常識はずれなのでは?
Posted by 長澤まさみ モテキ at 2013年06月18日 19:45
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