2012年01月24日

アイアイサイサイ!


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安定なんてくそ食らえ、刺激に満ちた生活、それこそが若者を奮い立たせるエネルギーに違いない。 

 

数百メートル離れている生徒たちの話し声さえ聞こえる夜、天の川は静かにギラギラ輝き流れている。 

 

小学校のとき確か教科書で読んだことがある。 留吉はこういった、 「もし、太陽と月が一緒に出たらこの世の中は明るかろう」 小学生の僕は馬鹿なことを言う人がいるなあと理解できなかった。 きっと本当に明るい月を観たことがなかったからだ。 

 

月に照らされる大きく広がる大地は明るい灰色に浮き上がって見える。 この地球も宇宙のなかの星なんだと初めて空を見ず大地を見ながら感じることができる。 こんな月、星、夜の荘厳さ奇麗さに気づく事ができたのはこのケニアの山中に住みはじめて3ヶ月たった頃かなあと思う。 

 

夜は蝋燭2本ぐらいの明るさのランプのもと明日の授業の予習や、手紙を書く。 ランプが照らしてくれるのはテーブルのうえだけで、周りを見ても薄暗くてあまり良く見えない。 しかし、ランプの下で生活なんてまるでハイジみたいで僕は好きだ。

 

夜中12時も過ぎて、日本で待ってくれている彼女に手紙を書いている。毎日いろんなことが起こるので書く内容は事欠かない。 手紙は意外と早く日本に着く10日から2週間、まあ取りあえず、今書いている内容の返事は1ヶ月後に知ることになる。 

 

静かな中にボールペンが紙の上を走る音のみがしている。 

 

しかし、サカッ サカッ サカッ と頭上でなにか動いた感じがした。少々びびりながら気のせい気のせいと自分に言い聞かす。 しばらく何も起こらず、また静かになる。 

 

ため息をつきながらいつのまにか耳を澄ましている。と、やっぱりサカッ サカッ サカッ サカッと頭上で速い音、しかもかなり近い。音と同時に小さな風をほっぺに感じる。 

 

家の中を何かが飛んでいる。 ゾクッと 鳥肌が立ち、周りを見渡すが暗くて何もみえない。 

 

ランプを片手に立ち上がるとまたあの速い音、暗がりにちらっと飛ぶ姿を捉えた。

 

昆虫にしては大きすぎる。六畳ぐらいの狭い部屋なのに、飛んでるとき以外はどこに居るのかわからない。 

 

何だっていいから打ち落とさなくてはと思い、ほうきを手にする。 じっと待つ、びびりと集中の世界、また飛んだ、ほうきを振り回す、円を描いて飛んでいるため当たらない。

 

もう一度静かに待つ、また飛んだ。ほうきを振り回すが当たったのか感触がない。 

 

しばらくしても飛ぶ音がしなく、打ち落としたんだと安心した。 


「ほーっ」 っと安堵のため息、でもまだ緊張さめやらず落着かない。そして、ランプの置いてあるテーブルの椅子にゆっくり座る、耳を澄ましながらもうあの音が聞こえないようにと願う。

 

椅子に座りながら、下を向く。ランプに照らされた自分の身体の左胸の少し下にぴったりととまっているコウモリを見た。 

 

驚きのあまり声は出なかった、無言でもがき落とし、家のドアを開けたたき出した。 

 

実はこの家には数百のコウモリが住んでいる。住みはじめて間もないころは天井裏の数百のコウモリの鳴き声と毎日だされるすごい量の糞尿の匂いで夜はなんども起きてしまうことも度々あった。 

 

石造りで3つの部屋、水浴び場を持つこの家は村では贅沢な家のひとつである。 天井があるのも珍しい。天井は所々尿がしみ込み柔らかくなり糞の重さで垂れ下がり、ひどいところはそれが破け、その破けた穴の真下には糞の山がこんもりできている。 

 

表現し難いツーンとする独特のにおいである。毎日、夕方7時頃になると家の天井より上の外石壁より30匹程出てきては一斉に家の上を2、3周しながら飛びっ立ってゆく。そして次の30匹がまた出てきて、飛んでいく。

 

深夜は殆どのコウモリは外に出ているはずだが、この日は非番コウモリが誤まって破れた天井の穴から家中へ落ちてきたらしい。 

 

幸いここに住むコウモリは吸血コウモリではない、吸血コウモリはその唾液に狂犬病を発生させるウィルスを持っているので大変危険である。この家に住むコウモリはそれほどやばい種類ではないが、その天井からこぼれてくる糞は有害であると聞いた。どう有害かは知らないが、とりあえず臭い。

 

 

 

これはいまから20年も前の話です。協力隊でケニアで中学校の教師をしていたときのもので、学校の敷地の小さな家に住んでいました。いろいろな生き物が家の中や外にいました。コウモリ、巨大なトカゲ、サソリ、ハリネズミ、大きなゴキブリ、カメレオン、もぐら、、、

 

ケニアの後、NYに修士を取りに行きました。そこでどうしてもケニアでの経験を本(仮題:アイアイサイサイ)にしようと思いつき、書き出しましたが、思わず10ページぐらいで断念しました、、、(恥笑)。上の話しはその一部分です。 「安定なんてクソ食らえ」とは我ながら、まさにバブル時代の言葉です。

 

その10ページもどこかに無くなったと思っていましたが、PCを検索するとでてきました。本を「アイアイサイサイ!」という題名にしたかったのは、NYにいる時にケニアの教え子からもらった手紙のとても元気な挨拶だったからです。

 

NYで貧乏学生生活をしていた自分を生徒達は手紙でいつも勇気づけてくれました。英語もまともに喋れなく、授業も下手で、感情のコントールもできない無知な若者だったのですが、、。

 

今朝、facebookで友達リクエストを受け取りました。共有の友達なし、イカツイ顔をしたアフリカ人のおじさんに見えました。スパムかなぁと思い、名前をみるとムガンビ・シャバリとありました。

 

「アイアイサイサイ!」と挨拶が入っていた手紙を書いてくれたその本人でした。お互いに信頼し、遊び、そして共に学んだ教え子でした。(写真後列の左から2番目です。)

 

20年も経過して、facebookで自分の名前を検索してくれて突き止めてくれたようです。とても嬉しく思いました。ケニアでの教師生活は一生の宝のうちの一つです。

 

 

すみません、超長いブログ更新になってしまいました。ここまでお読みいただきありがとうございます。

 

 

 

 

 



posted by ichiro at 10:40| バンコク ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 協力隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 宮沢さん
感動しました。今回書かれた記事にはとても大切な気付きが3点ありました。
 1点目は、教育開発を含めた開発に関わる人間にとって、「現場」を経験することの重要性です。文章から当時の必死にアフリカで生活していた状況が目に浮かんできました。
「安定なんてくそ食らえ、刺激に満ちた生活、それこそが若者を奮い立たせるエネルギーに違いない。」
 若い時に途上国やNGOを見ることは非常に重要だと感じます。このアフリカでの生活が、宮沢さんのその後のご活躍の原点なのかと感じました。
 2点目は、「パートナー」の重要性です。今ではPCで1分後に世界中どこにでもメッセージを送れますが、彼女へ手紙を書きその返事を1カ月後まで待つ、このパートナーの存在こそがアフリカでの壮絶な生活の支えになったのかなと感じました。
 3点目は、「ネットの力」です。20年前に教えたアフリカの学生が、FaceBook で20年に当時の先生を検索してまた繋がる、、、今後の貧困削減のキーはネットを持ちいたこの「つながり」ではないでしょうか?我々の役割はこのソーシャルパワーで、いかに途上国の「Grassroots型」の開発を促すか、ということかもしれません。
Posted by 西山 雄大 at 2012年01月26日 03:11
西山さん、

いつも優しいコメントをありがとうございます。

約20年の間にそのパートナーと結婚して、双子の子供が生まれました。
その9歳の子供からはこのごろ「おはげさん」と呼ばれるくらいなめられてしまっています。

二人で書いた沢山の手紙を老後に読んで笑おうと思っています。

同意します。繋がることが貧困削減のキーだと思っています。それは今経済的に豊かな人とそうでない人のつながりだけでなく、すべての方向にすすむつながりだと思います。

貴重なコメントをありがとうございました。



Posted by at 2012年01月26日 15:28
愛すべき時間ですね・・。情景が手にとれるようで、20年前がみえてくるようです☆ 
先生をさがしてみようと思った、教え子さんの気持ちがうれしい・・。

ブログ、長男、次男と拝見しています。
Posted by S Paulo at 2012年01月27日 17:43
愛すべき時間ですね・・。教え子が探してくれるなんて感動!ケニアでの生活が見えるようです。静粛ってこんな感じなのかなぁぁって☆
20年前がそこにあるようですね。

長男 次男とブログ楽しく拝見しています。
Posted by S Paulo at 2012年01月27日 18:57
S Pauloさん、

優しいをコメントをありがとうございます。

20年以来の生徒はfacebookの写真をみてこんなメッセージをくれました。

kumbamba(こんばんはの間違い)YOUR PHOTO signifies your real compassion. Remember kenya & Nturiri.

お子さんとブログを読んでいただき恐縮です。もっとわかりやすく書くように努めようと思います。


Posted by 宮沢 at 2012年01月30日 12:17
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